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キース・ヘリング展
2024.11.29芸術・デザイン観賞
安藤忠雄氏が設計した、兵庫県立美術館に、キースヘリング展に行ってきました。
アートがあまり詳しくない方でも、ご存知の方は多いのではないでしょうか。
アメリカ出身の彼は、1976年から1978年までピッツバーグのアイビー・プロフェッショナル芸術学校で商業デザインを学んだ後、1978年にニューヨークへ移り、美術学校スクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学しました。
絵画やビデオ、パフォーマンスなどを学びながら、記号学も学んでいたそうです。
野外で数kmにわたって布を張るインスタレーション(ランニング・フェンス)のように、多くの人に芸術を魅了していた彫刻家クリストの作品に感銘を受けたと言われています
1980年代のニューヨークのストリート・カルチャーから発生したグラフィティから活動をスタートしたヘリングは、ポップアートやミニマルアートも自身の作品性に吸収し、シンプルで明解なアイコン、シンプルで太い線、躍動的な形、明るい色彩を用いて、
ドローイングや絵画、彫刻、コスチュームデザイン、舞台デザイン、ポスターやレコードジャケットの制作、タイムズスクエアのビルボードのアニメーションなど、様々な制作を行ってきました。
彼の作品には特徴が大きく2つありまして、
ひとつは単純化したイメージを記号的に組み合わせたビジュアル言語を用いて、国境や言語にとらわれない作品を制作していること。
シンプルな絵をひとつの単語とし、それを組み合わせることで意味が生まれ、国や時代にとらわれず、万人と意思疎通できる言語となることを発見しました。
ビジュアル言語には人や犬、愛の象徴「ハート」、死、誕生といった身近で原始的なモチーフが多く使用しており、「Radiant Baby(ラディアント・ベイビー/光を放つ赤ちゃん)」はヘリングを代表するモチーフの1つとして知られています。
ヘリングは多くの人々に届く大衆性を意識していたと思います。
ニューヨーク近代美術館に収蔵されている《untitled》(1982)は、犬、エイリアン、電球、ヘビといった多くのモチーフで構成されており、ヘリングにとってエポックメーキングな作品となっています。
私自身も、実際にニューヨークに行く機会があれば見てみたい芸術作品の1つです。
もうひとつは、後期の作品に見られる政治的・社会的批判性。
反クラック(コカイン)、反アパルトヘイト、反戦・反核、LGBTやHIV・AIDS関連のテーマを取り上げ、問題提起するメッセージ性の強い作品も数多くあります。
今回のキース・ヘリング展は、問題提起するメッセージ性がある作品が多かった印象でした。
様々な芸術アーティストの中でも、彼ほど分かりやすくメッセージ性を出すアーティストは中々いないのではないでしょうか。
作品を見て進めていくと、彼が偏見と支援不足に対して、最後までアートで闘い続けたことを感じ取れる展覧会となっていました。