アンディ・ウォーホル・キョウト【展覧会】
2023.02.19芸術・デザイン観賞

京都市京セラ美術館で行われている「アンディ・ウォーホル・キョウト展」へ行ってきました。
(↑動画も面白い)
ポップアートの旗手で有名なアンディですが、
作品は普段芸術に触れない人でも楽しめる内容でした。
日常のものに焦点を当てたり
芸能人の華やかさに焦点を当てたり
ただただ自分の好きなものを永遠と撮影したフィルムなど
彼の哲学が詰まった作品達でした。
中でも、象のコラージュは手法として、特に面白さを感じました。
私も趣味で、漆喰を使ったアートを描いていますが、
輪郭を強調する画法に最近興味があり着目しています。
普通に水彩やアクリル絵具で描いた絵に、パステルやチョークで太めの輪郭を描くというものですが
普通の風景や花などの綺麗な絵が、力強く訴えかけてくるものを感じる絵になります。
アンディ・ウォーホルのこの写真にカラフルな輪郭をズラして表現しているアートは
私が良いなと感じている輪郭強調を、更に超えて、遊び心が人を楽しませるものになっていると感じました。
絶妙にズラして描いていることで、立体的に見え、フォログラムを見ているような不思議な感覚に陥りました。
この辺りは、アーティストのセンスで真似ができない範疇だと思います。
私も店舗設計の他に、WEBやグラフィックデザインをさせていただいてきます。
デザインでは、なかなかこの「ズレ」をうまく使うことができません。一般の人が見たときに、汚れや誤りだと感じてしまう恐れがあるからです。
アートは作者自身が思ったことを表現しますが、デザインは目的がありクライアントから求められるものを表現しなければなりません。
ここがアートとデザインの根本の違いだと感じます。
アートの方が自由で、表現方法は無限。学校で習う画法や手法もありますが、それを超えてオリジナルの表現ができるとアートに個性がでてきて面白味がでてくるのかなと思っています。
趣味でアートを始めたのも、何か新しいものを自由に思うままに表現できたら、より自分の感覚が研ぎ澄まされていくような感じがしたからです。
どうしてもデザインは、商業的になってしまいがちなので、思考が偏った方向へいってしまい、経験から導き出したセオリー通りのもので満足したデザイナーになってしまわないように、そして、自分へ「表現の自由を楽しむ」ということを忘れないようにアートを描くようにしています。
この作品も、2枚のズレが立体的に感じます。
作品を見て、良いなと感じつつ、
この表現にするにはどうしたら良いのかなど、色々分析してしまうのは、
デザイナーとしての職業病なのかもしれません…。
作品の面白さだけではなく、
展示方法にもこだわりを感じられた展覧会でした。
上の作品、背景が黄色。
目を引く色で、普段目にしない一面黄色の空間が、モノクロの写真をより引き立てていると思いました。
黄色と黒のハイコントラストは、空間設計でも使いますし、日常でもよく使われているカラーリングです。
黄色はJISで決められた安全色の中で、「注意」を意味します。(建築士の試験で学びました)
黄色の対比色は「黒」で、黄色と黒で注意を表しています。
阪神タイガースのイメージもありますが、注意を引きつけるカラーリングですね。
他にも背景にスケッチを入れていたり、リピートしていたり、
逆に漆黒に白いフレームで展示されていたらり、
展示にも強弱があって、とても勉強になる展覧会でした。